会計事務所の繁忙期
会計事務所の繁忙期とは?確定申告から決算までの流れをわかりやすく解説
どの業界にも繁忙期と閑散期があるものですが、会計事務所もその差が大きい業界の一つです。日本では、言わずと知れた「確定申告」の時期を乗り切ったと思って一息つけば、次は決算や経営相談業務が本格化します。今回は、普段あまり知られていない会計事務所の繁忙期について見ていきましょう。
確定申告シーズンは会計事務所の最繁忙期
芸能人が「今年も無事、確定申告済ませました!」などSNSに投稿しているのを見たことがある方も多いのではないでしょうか。
個人事業主やフリーランスなどの**確定申告の時期(2月16日〜3月15日)**は、まさに会計事務所にとって一年で最も忙しい時期です。
この時期、会計事務所では個人の所得をもとに確定申告書を作成し、税務署や市区町村に提出します。個人の申告は件数が多く、短期間に処理を終わらせる必要があるため、深夜まで作業が続くことも珍しくありません。まさに「寒くなってから梅雨入りまでが繁忙期」と言われるゆえんです。
年が明けると始まる年末調整と法定調書作成業務
確定申告が始まる前、年が明けるとすぐに年末調整や法定調書、給与支払報告書の作成・提出といった作業がスタートします。
これは税務署や市役所へ提出する重要な書類であり、会社員やアルバイトなど多くの人の所得に関わるため、非常に神経を使う作業です。
年末調整を自社で行える人が少ないこともあり、会計事務所には依頼が集中します。依頼元の法人だけでなく、株主・取引先・銀行など関係者が多岐にわたるため、1件あたりの業務量が非常に大きくなります。
そのため、2月中旬から3月中旬にかけては「連休明けの残業を覚悟しておく必要がある」と言われるほど、会計事務所は繁忙を極めます。
決算・税務申告は長期戦|「作品づくり」に似た繊細な業務
確定申告が終わっても、会計事務所の業務は続きます。4月以降は法人クライアントの決算書作成や税務申告書の作成が中心となり、経営者との打ち合わせや修正対応を何度も繰り返します。
個人の確定申告に比べて、法人の税務申告書は金額も規模も大きく、さらに扱う書類が複雑なため、非常に時間がかかります。決算書を見て判断する人がいないケースも多く、まさに「作品を作りあげるようなイメージ」と言えるかもしれません。
とくに3月決算の企業が多いため、5月頃までは多忙な時期が続きます。
閑散期は意外とゆったり?4月〜夏の会計事務所事情
一方で、繁忙期以外の時期、特に**4月から夏頃(6月〜8月)**にかけては思いのほか落ち着いています。
この期間は、新規顧客の契約準備や内部の業務改善、税理士試験の勉強などに時間を充てる職員も多く、シフト調整がしやすい時期です。
税理士試験を控えている人や、お子様の夏休みに合わせて勤務時間を減らしたい人にとっても、この時期は働きやすい時期といえるでしょう。
学校など他の業種にも繁忙期・閑散期の差はありますが、会計事務所の場合はこの差が特に大きいのが特徴です。
会計事務所の繁忙期に向けた心構え
会計事務所での勤務を検討している方は、ぼんやりでもいいので繁忙期のイメージを持っておくとよいでしょう。確定申告期や決算期は残業が続き、細かい数字を扱う神経を使う業務が中心となります。
一方で、閑散期は自分のスキルを磨いたり、働き方を見直したりするチャンスでもあります。
このように、寒くなってから梅雨入りまでが繁忙期、それ以外が閑散期というリズムを理解しておくことで、入社後のギャップに苦しむことも減らせるでしょう。
まとめ|確定申告から決算まで、会計事務所は1年中動いている
確定申告の時期が終わるとホッとするものの、その直後には決算や経営相談業務が待っています。
個人の申告に比べ、法人の税務申告は件数こそ少ないものの、1件あたりの作業量が非常に大きく、複雑で時間を要します。
寒い季節から梅雨入りまでの繁忙期を乗り越えたあとは、閑散期を上手に活用しながら、次の繁忙期に備えていく——これが会計事務所の一年のサイクルです。
