ダージリン紅茶とは？世界的高級紅茶の産地と魅力

ダージリンはインド北東部、ヒマラヤ山脈の麓に広がる山岳地帯の地名で、世界的に高級紅茶の産地として知られています。ダージリン産を名乗れるのは、インド政府紅茶局が認定した87の茶園で作られた紅茶のみです。世界最大の紅茶生産国であるインドの中でも、ダージリン産はわずか1％程度しか生産されない貴重品です。

---

ダージリンの地理と自然環境

ダージリンの茶園は標高600～2,500mの山の斜面に点在しています。標高が高いことで朝晩の寒暖差が大きく、一日に数度霧が発生します。こうしたダージリン特有の自然環境が、世界最高と称される香りや味わいを生み出しています。

---

ダージリン紅茶の歴史

本格的にお茶の栽培が始まったのは1852年のことです。英国人によって、中国福建省・武夷山などから運ばれた2万株のお茶樹の苗が植樹されたことに始まります。これらのお茶樹の子孫は「中国種」と呼ばれ、日本や中国のお茶のように爽やかな滋味と自然な香気が特徴です。ダージリンの老舗茶園には、樹齢100年以上の茶樹も多く残されています。

---

品種と栽培の進化

現在のダージリンでは、伝統的な中国種のほか、特に香気や風味に優れた高級クローナルの栽培も進められています。また、複数の品種を栽培し、製茶段階でブレンドすることで、完成した紅茶の風味に茶園ごとの個性や広がりを加えることも増えてきました。

---

ダージリン紅茶の収穫シーズンと特徴

ダージリンは日本と同様に四季の変化があり、春・夏・秋と年に3回の旬を迎えます。季節ごとに特徴の異なる紅茶が作られ、それぞれの個性は茶園の地勢、茶樹の品種、作り手の技術力によって変わります。

各茶園の収穫は100kg程度の少量ロットごとに行われ、DJ1、DJ2などの通しナンバーで管理されます。このロットナンバーが明記されていることは、茶園と生産時期を特定できる高品質の証です。

---

季節ごとのダージリン紅茶の特徴

春摘み（3～4月）

春の軽いお湿り期に収穫される新芽はやわらかく、収穫量は少なく高値で取引されます。茶葉は浅緑色、カップ水色は淡いオレンジ色で、新鮮で若々しい香味が特徴です。ストレートティーで楽しむのがおすすめです。

夏摘み（5～6月）

葉はややしっかりとし、加工されると外観は茶褐色に変化します。味・コク・香りが一年中で最も充実しており、最高級品とされます。カップ水色は明るく濃いめのオレンジ色で、マスカットフレーバーと呼ばれる爽やかな香りが特長です。ストレートティーで香りを楽しむのが最適です。

秋摘み（10～11月）

お湿り期の後の乾燥期に収穫される茶葉は厚みがあり、味に渋みが加わります。カップ水色は赤みがかった濃いめで、ミルクティーとの相性も良好です。

---

ダージリン紅茶の評価

紅茶のシャンパンとも称されるダージリンは、水色は淡いながらも格別な香味を持ち、世界三大紅茶の一つに数えられています。インド東ヒマラヤ山麓の急峻な斜面に植えられた茶樹は、日中の直射日光と夜間の低温による寒暖差、霧の発生により独特の味と香りを生み出しています。