腰痛の原因
【基礎知識】原因・症状・病気との関係
腰痛は多くの人が経験する身近な症状ですが、その原因や仕組みを知ることは、予防や改善の第一歩になります。
腰痛は病名ではなく、体に表れる症状の名前です。
腰痛の仕組み:椎間板と筋膜
腰は、外側が硬い線維輪、内部が軟らかいゼリー状の髄核でできています。
背骨と背骨の間には、クッションの役割をする椎間板があり、衝撃や圧力を吸収しています。
一方で、筋膜とは筋肉などさまざまな臓器を包んでいる膜のことで、運動によって繰り返し筋肉に負荷がかかると、筋膜性疼痛症候群という症状になることがあります。
椎間板や骨の変性による腰痛
椎間板は、悪い姿勢や作業、喫煙、加齢などの影響を受けやすく、外側の線維輪が変性・断裂して髄核の一部が飛び出すことがあります。
この状態が椎間板ヘルニアで、脊髄神経根を圧迫し、腰やお尻、下肢に痛みやしびれを引き起こすことがあります。
また、椎骨や椎間板が加齢により変性したり、異常な骨の突起が形成されることもあります。これにより脊柱管が狭くなり、脊髄神経根を圧迫する脊柱管狭窄症も腰痛の原因となります。
腰痛の症状
腰痛は症状によって異なります。代表的なものは以下の通りです。
- 長い距離を歩いたり重いものを持つと痛みが強くなる
- 前かがみで休むと再び歩けるようになる(間欠性跛行)
- 腰やお尻から下肢にしびれや痛みが広がる
- 筋力低下や力が入りにくくなる
寒さで血行が悪くなると回復が追いつかず、症状が悪化する場合もあります。
腰痛の原因と特異的腰痛
腰痛の約85%は原因不明ですが、15%程度は原因が特定できる特異的腰痛です。
病気やけがによる自覚症状の調査では、男性では1位、女性では2位が腰痛の原因として挙げられています。
原因が特定できる腰痛には以下のようなものがあります。
- 椎間板ヘルニア
- 脊柱管狭窄症
- 圧迫骨折
- 筋膜性疼痛症候群
複数の要因が絡むことも多く、生活習慣や心理的要因も症状の長期化に影響します。
まとめ:腰痛の理解とセルフケア
- 腰痛は病名ではなく症状の名前
- 椎間板や筋膜、骨の変性が主な原因
- 症状は歩行や姿勢に影響を与える
- 約15%は原因を特定できる腰痛(特異的腰痛)
- 生活習慣や心理的要因も腰痛の長期化に関与
腰痛の理解は、早期発見・治療や日常生活での予防・セルフケアにつながります。
